人は物質的、金銭的に豊かになったとしても、それで幸福になり、充足して生きられるかというと、そうでもないらしい。

 得た人間はそれを失うことを恐れ、更に得ようと渇望することをなかなかやめられない。

 先日読んだ本に、幸福を得た者は渇望する、といった記述を見かけたのだけれど、どうやら事実であるようだ。

 

 世界中の資産家たちが税金を支払うことから逃れるためにタックスヘイブンを利用していることが暴露され、世界中で大きな話題となっている。

 すでに一生で使い切れないお金を持っていても、それを手放していくのを嫌がっているらしい。

 そのようにして循環性の乏しい資金が大量に発生すると、社会の循環性もまた失われ、活力が失われていく。

 

 お金というものは入ってきて、出て行くところまでが大事なのに、出て行くところを抑えて自分たちだけいい目にあおう、などと考える人が増えているのだろうか。

 その傾向が強まっていけば世界はどんどん閉塞していくし、税金を払うか払わないかよりも、循環を拒否するその姿勢にこそ罪があると思う。

 人間の集団が生きていくためには、資源にせよ資金にせよ、自分の手元に置き続けず、絶えずパスをしていくことが必要なのだから。